2023/05/29 17:47
池亀公式オンラインショップで新たに日本酒(能登の地酒)の取り扱いを始めております。
これまでも取り扱い原料についての歴史などについてブログで記事を書いてきました。
今回も日本酒について何回に分けてブログを書きたいと思います。
日本酒の科学:和田美代子(著)、高橋俊成(監修)を参考にしております。
日本酒は課税移出数量が1973年の176万klをピークに2013年には58万klとおよそ3分の1になっています。一方ユネスコ無形文化遺産へ和食の登録、海外での日本食レストランの海外での影響などもあり、輸出量は増えております。(平成25年の輸出動向は10年前の2倍)そんな日本酒ですが、他にもアルコールにはビールやワイン、ウイスキーなどもあります。今回のブログでは他のアルコールとの違いについて触れたいと思います。
1.酒税法における酒類
酒は日本の酒税法では、アルコール分1%以上を酒類としており、主に醸造酒(日本酒、ビール、ワイン等)、蒸留酒(ウイスキー、ブランデー、米焼酎等)、混成酒(梅酒、リキュール等)に分かれます。
・醸造酒と蒸留酒は原料(日本酒の場合、お米)をアルコール発酵させて造ります。微生物の酵母がブドウ糖等の糖分を食べて、分解してエネルギーを作る過程で炭酸ガスとアルコールを出す反応でお酒ができます。
・蒸留酒は、醸造酒を蒸留したもの。原材料を混ぜ合わせて仕込んだものを醪(もろみ)と言いますが、蒸留酒も醪を造る段階までは醸造酒と同じですが、そのまま搾らず、熱を加えてアルコールを蒸発させます。湯気になったアルコールを再び集めて再び液体にすることで、純度の高いアルコールとなります。
・混成酒は、既存の酒に糖分、アルコール、果実、香味料などを加えることで造られます。
次に、醸造酒の中でも日本酒が他のお酒との異なる点に触れたいと思います。
ワイン、ビールに比べ日本酒の製造工程で大きく異なる点があります。それは糖化と発酵が同時に進む点です。
・ワインは単発酵と呼ばれる製造方法です。原料のブドウに糖分が含まれるため、酵母を加えてアルコール発酵させて造ります。(糖化が不要)
・ビールは単行複発酵と呼ばれる製造方法です。原料の大麦にはデンプンはあるものの糖分が含まれていません。ただし発芽するとデンプンが糖化され麦芽糖ができるという性質を持ちます。そのため大麦を発芽させてデンプンを糖化し、その液にホップと水などを加えた麦汁を作り、これに酵母を入れてアルコール発酵させます。(つまり、糖化と発酵が別々のタンクで行われる。)
・日本酒は並行複発酵と呼ばれる製造方法です。原料のお米には大麦同様デンプンがありますが、糖分が含まれておりません。そのためまずは原料を糖化させないといけません。その際に大麦のように原料自身が持つ酵素を用いるのではなく、麹菌を増殖させ、その酵素によってデンプンを糖化させます。これに酵母を加えてアルコール発酵させます。(1つのタンクの中で糖化と発酵が同時に進む。)
このように、日本酒には他の醸造酒には見られない高度な技術や経験等が求められます。
国内での課税移出数量が減少傾向にある日本酒ですが、その製造方法は高度な技術の賜物であることがわかります。当店でも法事や懇親会などの店舗で行われる大人数での宴席での日本酒は減少傾向にありますが、遠方からお越しのお客様は地酒を楽しみにされることが多いです。能登杜氏は日本4代杜氏の一つとされるように、能登は日本酒が盛んな地域です。料理屋の当店からも各地のお客様に地酒をお届けしておりますので、ご自宅で、贈り物にお楽しみくださいませ。